今も昔もいざという時には渋滞


 
「ご主人様、お待たせいたしました」
 
うやうやしく冊子を差し出すパスパルトゥー。
 
「ああ、有難う。すぐに辻馬車を捕まえてくれ。さあ、出発だ」
 
パスパルトゥーはボールのように走って馬車をつかまえてきました。
早速乗り込む二人。
 
「チャリング・クロス駅まで頼む。急いでくれ。」
 
馭者が答えます。
 
「いやあ、旦那、この時間はどうにも混んじまって~。
急いでくれっていってもどうにもなりません。・・・特別手当でもでればあたしも馬も頑張れるってもんですがねえ?」