現金な人には現金を


途端に元気になった馭者とそれにつられた馬のおかげで、
馬車はいまだかつてないようなスピードでチャリング・クロス駅に到着しました。
 
荷物を降ろしているパスパルトゥーは、ぼんやりとしているフォッグ氏に気が付きます。
 
「ご主人様?急がないのですか?」
 
「おいお前、このガイドブックは去年のものだよ。」
 
・・・パスパルトゥーはどうやら間違えたものを持ってきてしまったようです!
 
「うわあ、申し訳ございません!」
 
「うむ。もう取りに帰っている時間はない・・・。」
 
頭をかかえた二人をみて、ご機嫌の馭者が声をかけました。
 
「ガイドブックの最新版が必要なんで?あっしので良かったら持って行ってくださいよ!」



「あ、ありがとう~!」
 
涙目のパスパルトゥー、そして、さらにチップをはずむフォッグ氏。
 
「さあ、列車に乗りましょう!」