憮然とした馭者が走らせる馬車の中、慌ただしく荷物の確認をするフォッグ氏。
もうすぐチャリング・クロス駅・・・というところで、はたと手を止めました。
ただならぬ顔つきに、思わず声をかけるパスパルトゥー。
「ご主人様、どうされましたか?」
「・・・お前が持ってきたガイドブックは前のものだ・・・!」
「えっ!!」
「これでは今回の旅の役には立たない。もう取りに帰っている時間はない。列車はでてしまう。」
「も、も、申し訳ございません!」
「・・・やはりこのようなことはやらないほうがいいのかもしれない。
お前の間違いがそれを教えてくれたよ。・・・・さあ、家に帰ろう」
お前の間違いがそれを教えてくれたよ。・・・・さあ、家に帰ろう」
来た時の勢いはどこへやら、うってかわって静かな歩みとなった馬車のなか、
肩を落としたふたりのシルエットがぼんやりとみえていました。
肩を落としたふたりのシルエットがぼんやりとみえていました。
The End