(そうこなくっちゃ!)
一目見た時からすっかりその女性に魅せられていたパスパルトゥーは、
フォッグ氏のことをだいぶ好きになり始めていました。
冷たい顔の下にある優しい心。
「やっぱりうちのご主人は大した御仁だ。よおし!・・・やってやるぞお!」
心ばかりはやるパスパルトゥー。いっぽうで冷静なフォッグ氏はガイドに詳しい説明を求めました。
その女性はアウダといい、ボンベイ商人の娘で英国流の教育を徹底して受け、
しぐさも教養も英国人のように育ちましたが、孤児となり、老王のもとに嫁がされ、
そしていまは亡き老王とともに葬られようとしているということなのでした。
ますます助けたい気持ちがたかまるフォッグ氏、
そしてそれに輪をかけて鼻息の荒いパスパルトゥー。
カーリー神と哀れな女性を連れた一行の目的地は、森の中の神殿。
神殿の外の森には、うずたかく積まれた薫り高い草木の上に横たえられた王の遺体。
明日の火葬のための準備の様です。
多くのひとは神殿の前の小さな広場で歌い踊り、生贄はどうやら神殿の中に運び込まれたようです。
夜になれば、みな眠り込んできっとチャンスはある。
そう信じた彼らでしたが、サーベルを掲げた見張りの兵は神殿の前を一晩中歩き回り、
まったく隙がないのでした。
「これは無理。あきらめるしかないですよ。退却しましょう。」
ガイドの言葉にフォッグ氏は・・・・?