ラングーン号



列車はベナレスを過ぎ、インドの東の端、カルカッタへ朝の7時に到着しました。




そこから香港への定期船がでているのです。
 
定期船は正午発。

フィリアス・フォッグは5時間の余裕を持っていたのでした。
フォッグ氏の日程表によれば、彼は10月25日にカルカッタに到着する予定でした。

そして、実際にこの日に到着したのでした。
 
ロンドン~ボンベイ間で得た2日の余裕は失われました。
インドを横断中にそれを費やした理由は、皆様もご存じのとおり。
フォッグ氏はそれを少しも悔いてはいませんでした。
 
 
定期船ラングーン号は一路香港へ。


 
航海は13日間。

海風が気持ち良いラングーン号のなかで、パスパルトゥーは運動不足を気に病んで、
毎日甲板を走ることにしました。

ある日、いつものように走っていると、甲板のコーナーでなんと船長と正面衝突!

パスパルトゥーはマリのように跳ねてすぐに立ち直りましたが、
船長は硬い甲板に頭をうってしまったようです。
 
「あいたたた!あなた、そんなに走るものじゃあないですよ!」

「すみません!すみません! 大丈夫ですか?!」

「ウーン、ちょっと朦朧としている・・・。
私の部屋のダベンポートの上にある葉巻を持ってきてくれませんか?一服したらしゃっきりできそうだ。」
 
船長の部屋に駆けていったパスパルトゥー。
 
「・・・ん?前になにかこれに似たことがあったことが気がする・・・?」
 
さて、ダベンポートはどれ?